こんばんは、ふくろう主です。
先日書いたこの記事ですが
予想外に見て頂いてる方が多いようで大変感謝しております。
まだお読みになっていない方は、併せてお読み頂けると嬉しいです。
www.owlowl72.com
やはり昨今の出版不況に対して関心は高いようで
元書店員としても、ありがたいな、と思うと同時に
(思考停止と怒られるかも知れませんが)
これといって打つ手が無いな・・というのが正直な意見です。
とはいえ出版不況の現状を知って貰うのは
決して悪い事ではないと思い、前回は割愛した
少女向け、女性向けのコミック雑誌に関しても
この10年の発行部数を比較をしてみました。
データは前回と同じく、日本雑誌協会のHPから引用させて頂きます。
www.j-magazine.or.jp
2018年4~6月少女向けコミック雑誌(三ヶ月の平均値)
2008年4~6月少女向けコミック雑誌(三ヶ月の平均値)
前回同様、こちらの数字はあくまで発行部数であり、販売部数とは異なります。
販売部数に関しては、有償でデータを手に入れる事も可能なんですが
それも大変なので、今回は割愛させて頂きます。申し訳ありません。
さて、少女向けコミックで注目したいのは
まず、低年齢向けメジャー3誌の「なかよし」「りぼん」「ちゃお」。
ちょっと乱暴な言い方ですが
女子向けのコロコロコミック的立場と言えます。
男児向けのコロコロコミックは10年間で約20%減と健闘していましたが
なかよし 33万1千部→8万7千部
りぼん 32万6千部→15万部
ちゃお 92万部→40万部
と、目を覆いたくなる惨状です。
どれも半分以下になっていますが、なかよしは約75%減と特に厳しい。
ちゃおも半分以下ですが、まだ健闘していると思えるほど。
次にもう少し対象年齢層が高め、月2回刊行の
「マーガレット」「Sho-Comi」「花とゆめ」を見てみたいと思います。
(ちなみに「Sho-Comi」は2008年時点では「少女コミック」)
マーガレット 12万5千部→3万9千部
Sho-Comi 19万5千部→9万1千部
花とゆめ 25万7千部→11万4千部
うーん、こちらも 半分以下から3分の1まで、深刻な減少率と言えます。
本家メジャー誌からの派生雑誌として
別冊フレンド(本家は少女フレンドは1996年に廃刊)
別冊マーガレット、ベツコミ(別冊少女コミック)も比較してみましょう。
ちなみにこの枠には別冊花とゆめもありましたが
こちらもつい先日休刊となってしまいました。
別冊フレンド 10万8千部→6万5千部
別冊マーガレット 30万6千部→13万5千部
ベツコミ 10万1千部→2万9千部
別冊フレンドは若干減少が緩やかですが
状況が深刻な事は否めません。
ベツコミは限界近くまで追い込まれていると言えそうです。
ちなみに休刊となった別冊花とゆめ
確認できるデータ範囲では、最後の発行部数は約3万2千部でした。
2018年4~6月女性向けコミック雑誌(三ヶ月平均)
2008年4~6月女性向けコミック雑誌(三ヶ月平均)
続いては、年齢層高めの女性向けコミック。
2018年は公表されている雑誌の数もかなり少なくなっています。
一気に見てみましょう。
Kiss 15万7千部→7万部
デザート 11万6千部→4万5千部
BE・LOVE 18万5千部→8万2千部
Office YOU 11万5千部→5万4千部
Cookie 18万8千部→3万4千部
プチコミック 11万部→7万部
フラワーズ 4万2千部→4万1千部
FEEL YOUNG 4万6千部→1万1千部
MELODY 4万7千部→3万6千部
うーん、やはり厳しい。
特にCookieの減少は凄まじいものがあります。
Cookieのこの2008年のデータはたぶん矢沢あい先生の
「NANA」が連載してた絶好調の頃ではないかと思います。
ちなみに「NANA」はいまだに完結してないんですよね。
休載も10年近くになりますか・・
MELODY、フラワーズは2008年の段階でも売れ部数が少ないですが
減少率という点では健闘していると言えますね。
特にフラワーズはほとんど減ってない!
これは萩尾望都さんの「ポーの一族」の連載再開も影響がありそう。
新作連載再開時は問い合わせが凄まじかったのを思い出します。
電子書籍の出現などもありますので
どこまで深刻な状況かというのは
この発行部数だけで単純に断じる事はできませんが
電子書籍で出版社と作家は生き残れても
書店は生き残れないんですよねぇ・・。
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