いきなり無職!

株の損失725万円を取り返そうと奮闘する無計画セミリタイア無職人間の日常

ある雪の日・・クレーム処理で遭難しかけた話

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こんばんは、ふくろう主です。

本日は印象深い雪の日のクレーム話を一つしたいと思います。

 

現在は無職の私ですが、以前は書店に勤めておりました。書店には防犯ゲートというものがあり、商品につけられた防犯タグにこれが反応、ブザーが鳴り響き店の商品を外に持ち出そうとしている事が判明するわけです。

ところが、時に誤動作・・というか正確には正しく反応しているが故に本来反応すべきでないものにも反応してしまう事態がおこります。

なにぶん昔の話ですので、今はもう改善されているかも知れませんが当時は良く電気のコードをぐるぐる巻いたものや、磁気タイプのカードキー、変わったところではゲームセンターのデータカード~1枚だけでは反応しないのに、2枚重ねていると反応する~などが誤動作を起こす主な要因でした。

我々もブザーが鳴っている状況で、そのお客様を素通りさせる訳にもいきません。故にそういう時は、上記の様な例を挙げて、どういう原因でブザーが鳴っているのかを確認させて頂けませんか、とお願いする訳です。

あくまで誤動作を念頭において説明するため、犯人扱いしている訳ではないのですが言われた方としては疑われている感じがして、気分的に嫌な感じになるとは思います。それ故、トラブルになる事も多々ありました。

こちらもそれは理解していてなお、万引き犯を放置する事は店の死活問題でもあるため、できるだけ穏便に、お客様を不快にさせないような言い方を心がけていたものです。

 

ある日いつもと同様の防犯ゲートの誤動作が起きました。私は直接現場は見ていなかったのですが、応対した女子社員から女性のお客様で一件誤動作がありましたが特に問題はなく、お客様も特に不快になられた様子もなく帰宅されたと報告を受けました。

が、夕方になって突然本社から一本の電話が入ってきます。

子供が万引き犯扱いされている、いったいどういう事なのか、とクレームが入ってるんだが、と。

こういう事がたまにあります。問題を解決したと思って安心していたら、「家に帰ってじっくり考えたがやっぱり納得できない」とかいう感じで終わった思っていたクレームが突如ゾンビのように蘇ってくることが。

今回の場合は子供が今日の出来事を親に話したんでしょう。そして親の怒りの導火線に火がついてしまったのだと。

しかしまず初手から本社へ電話をかける、というのはかなりクレーム慣れした相手だと思われます。クレームを入れてくる人というのは、まず大きく2種類に分かれます。文句を言う事で実利をもとめてくる人・・つまりこちらへの要求がハッキリしている人、もう一つはとにかく感情が爆発して怒らなければ気がすまない人、ただただ喚き散らす事が目的になっている人です。ただ双方とも、普通は当事者である店や店員に電話なり話なりをしてくるものです。実利をもとめる人は早々に対応して欲しいのでわざわざ本社に電話をしたりはしません(店舗で要求が通らないと後に本社にクレームを入れてくる事は多々あります)。一方とにかく怒りたい人も、直接不快な思いをさせられた人間にダメージを与えるためにやってきますので、わざわざを関係ない本社へ連絡する事は少ないのです。

そして同時にクレームを本社に入れられる、というのは現場の人間が一番嫌がる行為でもあります。特に本社は全く事情を知らない訳で、お客様のクレームを鵜呑みにしてしまいます。例えば正当性がこちらにある場合でも、全面的にこちらが悪い事になってしまいとにかく平謝りせよ、という形になってしまうからです。

今回の場合は、こちらも気をつかっているとはいえ、疑いをかけたと思われても仕方のないところがあります。ですからクレームの内容については良いのですが、向こうがどうして欲しいのか態度がハッキリしない、という事でした。

 

仕方なくこちらから電話をかけ、後日直接謝罪に伺わせてもらう、という事で決着がつきました。

 

しかし・・うかがった住所は隣の県のとんでもない田舎でした。私は当時は車を所有しておらず、仕方なくJRで数時間かけて現地へ到着。当時はまだスマホもなく、グーグルマップを参照しつつ目的地へ向かうようなことは全くできない状況。ネットで調べた頼りない地図をプリントアウトしていたものの、あきらかに情報不足でした。

仕方なくお客様に電話をかけて、最寄のバス停を教えてもらえないかとお伺いをたてたのですが、普段使わないから知らん、と冷たい反応。まあ、この田舎ですと車が無ければ生活できないでしょうし、仕方ないとは思うのですが。

途方に暮れていると、駅に観光案内所がありまして、そこの職員の方が協力してくれました。出してきてくれた地図を見ながらいろいろ相談です。暇だったからなのか、非常に親切にして頂きました。

最寄のバス停を発見したはいいものの、バスの本数は一時間半に一本という有様。何となく予想はしていましたが、朝一番に出てきてももうすでに昼の3時近くになろうとしています。

バス停からだだっぴろい田んぼの間を抜けて、ちょっと小高い山のようなところへ向かいます。しかし本当に目印になるようなものが何もないところでした。そこで大きめの家が立ち並ぶ集落のようなところへようやく到達。しかし、肝心の家の場所がわかりません。すでに一度電話しているだけに、あまり何度もお客様のところへ電話をしたくないのもあり、何か手はないかと見回していると、タイミング良く近所の小学生ぐらいの子が遊んでいるのが見えました。

この辺に、〇〇さんって人の家ないかな~? と聞くと、子供はこの辺の家は全部〇〇っていう名前だと、そして自分も〇〇だと言うのです。詳しく聞くと親戚なのかなんなのかわからないですが、周辺の家の6割ぐらいが同じ名字なんだとか。

冬の寒い日ですから、日が落ちるのも早いです。だんだんと空も暗くなってきましたしあまり時間をかけていられない、と仕方なくもう一度電話。どうにか家にたどり着く事ができました。

玄関で私を出迎えたのはやはり、当該の女性ではなく、その父親と思われる男性。

相手も時間をかけてわざわざ家までやってきた事で少し怒りも収まっていたのか、話し合い自体はそこまで感情的なものではありませんでした。事件発生の経緯、防犯システムの問題と、万引きによる被害の大きさから、止む無くこのような対応をとっている事など、事細かに説明し謝罪を行いました。相手は何百万もする防犯のシステムを買い換えろ、とか今後100%このような事が起きないように誓約しろ、など結構無茶苦茶な要求をしてきましたが、安易に約束もできません。説教タイムは2時間ぐらい続いたでしょうか・・たまにちらちらと店に来ていたと思われる女性が様子を見に来たりしています。もういい加減許してあげたらいいのに、という様な微妙な表情をしています。

無理な事は無理ですが、最大限問題が起きないように努力します、などといいつつのらりくらりと交わしていると、やがて夕食の時間が来てしまい「もういい」とお役御免になりました。

もってきた菓子折りを渡そうとすると、話を聞いて納得したかっただけなので、そういうつもりはない、持って帰ってくれ、と言われてしまいました。じゃあ電話でいいじゃんね・・。

玄関先にでも置いていくかを迷ったのですが、この手の人は結構受け取らないパターンが多いので、自分が好きなお菓子を選んで買っていたのです。どうせ実費だし・・。

 

さて、ようやく解放されて安堵したのも束の間、なんと家に入ったときには全く降っていなかった雪が凄まじい勢いで積もっていました。こんなに短時間で、脛辺りまで埋まってしまいます。マジか・・。山の天気は変わりやすいなんて言いますが、まるで別の雪原地帯にワープしてきたかのようです。しかも田んぽが一面雪景色になっていて、どこが道なのか全くわからない状況になっています。

もう空は真っ黒になっており、街灯などは全くなく、遠くに幹線道路と思われる明かりがぽつぽつと見えるだけ・・それも吹雪のような雪に紛れてハッキリとはわかりません。果たしてこの状況でバス停に辿り着けるのか・・誤って側溝にでも落ちたらそのまま発見されないのではないか、とオーバーな表現ではなく死を身近に感じてしまいました。

 

しばらく立ち往生していると、幸いな事に車がやってきて新雪に轍を作ってくれました。地元の人は良く車でこんなところを走れるなと関心しながら幹線道路へ到達。疲労困憊になりながらバスの時間を確かめると、駅に行くバスは5時40分が最終でした。ちょうど相手の家で説教喰らっていた時間です。

マジか・・もう歩くしかないのか・・と一瞬思いましたが、当然駅への道はもちろん、行くべき方角さえも全くわからない状況です。

もう手段は選んでいられません。吹雪にさらされながら会社に電話、地元のタクシー会社の電話番号を調べてもらって、バス停まで配車を頼みます。もうずいぶん昔の事なのでハッキリとは覚えてないですが、3000円ぐらいかかったでしょうか・・もちろん実費で・・。どうにか家にたどり着いた頃には夜の十一時を回っていました。手元に残った菓子折りだけが心の癒しでした。

長年働いてきましたがクレーム処理オンリーで丸一日かかったのは後にも先にもこの日だけ。まあこの時はこちらにも原因があるので、そんなに恨んだりとかいう事はないのですが、お互いもっと省エネで問題解決できたんではないか、と思う事もありますね。

 

以前のクレーム関連の記事など↓ 

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